ネットショップで取り扱い商品を補充する際、適当な数量を発注するのはあり得ません。発注する際に考えるべき重要な指標が「発注点」です。
発注点とは、ネットショップ運営において在庫管理の精度を左右する重要な項目です。商品の発注点を設定する意義は、欠品や過剰在庫を防ぐのに大いに関係します。
本記事では、発注点の基本的な考え方や算出方法、在庫管理とどのように関係するのか解説します。最適な在庫管理を目指して、発注点を正しく理解し、ネットショップ運営に活かしましょう。
発注点とは|商品を発注する基準数

発注点とは、「在庫数量がここまで下回ったら発注する」基準数量を指し、あらかじめ設定しておきます。発注するタイミングを見極める目安の数量、と考えれば分かりやすいかもしれません。在庫過剰になったり、反対に欠品したりといった状況を起こさないようにする、在庫管理の一つの考え方です。
過不足なく、適切な数量で在庫を保有するために、発注点の設定は重要です。あらかじめ設定すれば、もし担当者が変わっても、人員環境に影響されず、滞りなく在庫補充業務が進行できます。
発注点設定の重要性

発注点を設定し得られるメリットは多く、スムーズな在庫管理業務には非常に有効で重要な項目です。
数量を決めるだけの一見単純な作業にも思えますが、発注点の設定を無計画に行うと、在庫管理業務におけるさまざまな要素に影響します。
例えば、物理的な業務の効率化への弊害、過剰在庫や欠品が頻発するなど、さまざまな問題を起こす可能性があるのです。
発注点の適正運用は経費削減につながる
ネットショップで商品をお客さまに発送する際には、梱包材や伝票などの資材や、倉庫からの発送時に送料、また人件費など、商品在庫以外にも多くの経費が発生します。
在庫管理が適当だと、不必要な資材や返品送料と全体経費に影響するため、発注点の適正運用は、最終的に全体の経費削減とも無関係ではありません。
発注点と在庫管理の深い関係
在庫数量が基準以下まで減った場合に、決められた数を発注するのを「定量発注方式」と呼びます。この方式で在庫管理を行うには、発注点と呼ばれる基準となる在庫数を設定する必要があります。
発注点の設定は、適切な在庫管理との関係性が高く、発注点の設定なく感覚で商品を発注したり、属人的になったりすると、発注した商品の入荷前に在庫切れが起きるリスクが高まるためです。欠品による販売機会の損失は、売上だけでなく、ショップ運営そのものに支障をきたします。
欠品のない健全な在庫管理のために、発注点の設定は行うべき重要項目と言えるのです。
発注点設定のメリット

定量発注方式に基づいた発注点の適切な設定は、以下の効果も期待できます。
- 余剰在庫の発生を抑える
- 在庫不足による販売機会損失のリスクそのものを回避できす
- 在庫管理にかかるコストの最適化につながる
一旦発注点を決めてしまえば後は、決められた内容をベースに発注作業を行えばよいので、作業的にシンプルで発注業務の負担が軽減できる点もメリットです。
発注点の設定は需要変動も加味されているので、そのタイミングでの市場トレンドが反映されて、需要の高い商品がきちんと確保されていれば、顧客満足度を高めることも可能です。
発注点設定の具体的な方法とは?

定量発注方式では、常に一定数の在庫を持ち、基準を下回った際に発注をします。あらかじめ最低ラインの在庫数量と1回あたりの発注数量を設定し、在庫数が最低ラインより少なくなったタイミングで発注を行います。
定量発注方式で設定する発注点は、以下の計算式で算出可能です。
「1日の平均使用量」は1日あたりの販売数、「調達期間」は商品を発注してから入荷するまでのリードタイム、「安全在庫」は、入庫作業を完了する前に欠品しないための、最低在庫数を意味します。
1日の平均使用量×調達期間で、調達期間(リードタイム)に減るであろう数量を計算し、万が一使用数量の増加や調達期間が予定より長期化した場合の予備として、安全在庫を設定するのが一般的です。
発注点の設定における注目すべきポイント

発注点の設定には、注目すべきいくつかのポイントがあります。特に重要な3つの要素が以下になります。
要素 | 詳細 |
---|---|
平均使用量 | 1日辺りの販売数の平均値 |
調達期間 | 発注から納品までの日数(リードタイム) |
安全在庫 | 需要が変動し予想以上の出庫があったとしても欠品しない在庫数 |
ここからは、算出に必要な3つの要素について具体的に見ていきましょう。
平均使用量|発注点設定に必要なネットショップの需要動向
発注点を決めるのに重要な要素の一つめは、対象となる商品が、1日あたりどのくらいの数量出荷(販売)しているのかを表す「平均使用量」です
売上げ動向や販売傾向、算出時のトレンドも加味しながらあらかじめ計算すると、在庫が欠品する前に適切に補充できます。欠品しない程よい在庫数を維持できるため、倉庫内での保管コストの削減にもつながるでしょう。
多くの場合、平均使用量は一定期間の平均値を採用しますが(1年間の販売数を12ヶ月で割るなど)、場合によって最大値や中央値を選択するとよい場合があります。入荷から販売までの間隔が短い商品の場合、できるだけ余裕を持って予測を立てておくのも大切です。
正しい在庫管理業務や発注点の算出を行うためにも、1日の平均使用量を定めるのは重要な要素と言えます。
調達期間|商品入荷までのリードタイム
商品を発注する場合に認識しておくのがリードタイムです。リードタイムは、商品の発注から倉庫に納品されるまでの日数を指します。時にはリードタイムの短縮が、物流業務の改善指標になる場合もあるのです。
入荷するまでの期間も、商品が売れれば在庫数は減少します。リードタイムを考慮せずに発注したために、商品入荷の前に欠品してしまった、とならないように、このリードタイムを正確に把握して発注数量を決定しましょう。
リードタイムは、発注完了から納品までにするのか、発注点に到達した時点からにするのかなど、考え方が複数あります。自社にあったリードタイムを設定し、在庫が欠品しない、欲しい商品が当たり前に購入できる環境を整えるのが重要です。
安全在庫|リスクを最小化するための在庫数
安全在庫とは、予想以上に商品の需要が伸びたり、供給遅延が起きたりした場合でも保持できる、最低限必要な在庫数量を指します。この在庫数も発注点の計算に取り入れて考えます。リードタイム中に1日の平均以上に出荷した場合でも、安全在庫が確保できていれば、欠品リスクを最小化できるメリットがあるためです。
1点注意するべきなのは、安全在庫はあくまで欠品のリスクの低減を目的にしている点です。安全在庫を設定すれば在庫の最低数量が決まります。しかし上限はないため、余剰在庫になる恐れもあるのです。
安全在庫は、安全係数×標準偏差×√発注間隔+調達時間で算出します。
発注点をより最適化するために

発注点は一度設定して終わりではなく、定期的に再考し、常に最適な状態を目指しましょう。
発注点を目安に発注する定量発注方式は、トレンドや季節性の影響で、定期的に変化する需要には弱いとされています。そのため、市場動向の変化に合わせて、発注点も定期的に再検討する必要があるのです。
例えば設定した発注点で運用し、次第に発注頻度が増えていると感じた場合は、出荷数が増加傾向にあると判断できます。その際は、基準となる発注点を増やし、発注頻度を減らす改善を行いましょう。
発注点を見直すうえで、着目すべき項目を解説します。
- 販売動向を分析する
- リードタイムを短縮化する
- 業務フローを整備しまとめる
- システムを活用し発注点を設定する
販売動向の分析は、発注点の再検討の重要項目です。
販売動向を分析する
季節性やネットショップごとの企画・自社イベントだけでなく、最近では、トレンドの変動スピードも早く、商品の需要予測に欠かせません。さまざまな商品の販売データをさかのぼり、需要に対する適切な供給が計画できるように、販売動向を分析するのは大切です。
それによって、すべての商品を均一に発注するのではなく、定量発注か都度発注など随時判断が必要になってきます。時には、発注量を増やすなどの対策も速やかに対応するとよいでしょう。
リードタイムを短縮化する
発注点を設定する際大きく影響するリードタイムは、商品の確保や配送ルートなどを見直して短縮化が可能です。特に、直輸入商品や自社オリジナル商品などはより改善の可能性が高いと言えます。リードタイムの短縮化により、1回の発注量を減らせるので、よって過剰在庫防止にもつながるのです。
業務フローを整備しまとめる
自社における発注点管理の考え方や、運用の共通ルールを決めて業務フローをマニュアル化すると、作業の統一が図れます。
ネットショップ運営では、一つの業務を複数の担当者で担うケースも多いので、業務フローが整備されていると、作業の効率化やヒューマンエラー防止に役立ちます。
誰でも同じ業務ができるように内容を細かく決めて担当者間で共有し、発注点見直しの際にアップデートするのもよいでしょう。
システムを活用し発注点を設定する
発注点の管理方法はいくつかありますが、在庫管理システムを活用すると、エクセルなどを使った手動管理と比較して、効率的な発注点管理が実現できます。導入コストはもちろん必要ですが、手動管理で起きる多くの問題点を解決するメリットは大いに重要です。
在庫管理システムの活用によって、在庫情報を迅速に確認・共有できたり、ほかの管理機能と連携できたりするため、発注点の自動計算が可能となります。
発注業務を適切に管理するためにシステムを活用しよう

発注点の設定や、発注業務を適切に行うには、その作業の過程だけでなく、在庫管理業務全体をどのように進めていくかが重要です。
小規模のネットショップであれば、エクセルで在庫管理を行い、発注点を手計算することも可能でしょう。しかし、担当者の負担を減らし、より確実性の高い運用を目指すのであれば、できれば早い段階でシステム運用を選択する方が、ロスを生む要因の未然に防げます。
在庫管理システムは、業務全体を細かくシステム管理するため、在庫管理に携わる人員やコストの無駄のない運用に役立ちます。発注や入出庫などの作業が自動化されれば、ミスが減ると同時に、それまでかかっていた人的リソースを、より必要な業務への配置が実現できるでしょう。
正確な発注管理や在庫管理は、最終的にネットショップの顧客満足度向上にもつながります。
発注業務の適正管理を実現するためにも、ぜひ在庫管理システムを活用しましょう。
在庫管理システムは「TEMPOSTAR(テンポスター)」を選ぼう

在庫管理システムの導入には、ぜひTEMPOSTAR(テンポスター)を検討しましょう。
TEMPOSTAR(テンポスター) は複数ネットショップ運営のバックエンド業務を自動化・効率化する機能や運用効率を高める特徴的な機能を多数搭載しており、複数店舗の在庫数を自動での一元管理が可能。
同一商品の在庫情報を共有して、各店舗の在庫数を自動で連動し、複数倉庫に分散している在庫に対して、受注引当と出荷、配送指示・処理を行うことが出来ます。
発注管理や在庫管理を行うのに、TEMPOSTAR(テンポスター)は役立つ機能が多いのが特長です。
TEMPOSTAR(テンポスター)を選ぶべき理由①正確な在庫状況が把握できる
TEMPOSTAR(テンポスター)は複数倉庫の在庫管理ができるマルチロケーション機能搭載で、複数倉庫に分散している在庫に対して、自動で受注引当と出荷、配送指示・処理が実行できます。
TEMPOSTAR(テンポスター)の導入で複数のECサイトの在庫を一元管理したうえで、5分~10分間隔で正確な在庫状況の把握が可能になるので、更新されたデータをもとに、発注点に達した商品の特定もスムーズです。
TEMPOSTAR(テンポスター)を選ぶべき理由②より正確な予測判断が可能になる
複数モールや倉庫の一元管理に対応しています。ネットショップ全体のデータをまとめて確認し、いち早く商品動向を確認可能です。これらのデータを元に、自社のネットショップで需要や販売動向を正確に確認できます。例えばTEMPOSTAR(テンポスター)には予測判断機能は搭載されていませんがTEMPOSTARからCSVデータを書き出しBIツールに入れると、想定した発注点に、季節変動や市場のトレンドをプラスしてより精度の高い在庫管理が可能になるかもしれません。
発注点とは在庫管理業務の基本

在庫数量の最低ラインを下回ったタイミングで発注を行う目安となる「発注点」は、ネットショップの在庫管理において基本的で重要な考え方です。適切な在庫管理と発注点の関係は非常に深く、発注点の設定なく無計画に商品発注すると、自社の不利益にもなりかねません。発注点の設定や発注に関わる業務を丁寧に運用する重要性は高いといえます。
発注点設定を含めた在庫管理には、在庫管理システムを導入・活用した運用が推奨されます。在庫管理システムを使えば、効率的な在庫管理を実現可能です。在庫状況と連動した発注点・発注量の適切な管理で手軽にデータを活用し、常に最適な発注点を決定し販売に役立てます。
在庫管理への貢献度も高く、過剰在庫や不足を防ぐため、コスト削減や顧客満足度向上にもつながるのです。発注点の重要性を再認識し、自社の業務効率化を図るべく、ぜひTEMPOSTAR(テンポスター)の導入を検討ください。